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森の小さな番人コゲラ(所沢市HP「ふれあいの里だより令和2年月11月号」より)

秋も深まりましたが11月7日は立冬、暦の上では冬となります。野鳥たちも冬越しの準備をしています。
行く鳥に来る鳥。野鳥たちは何だかざわついているように思えます。センターエリア周辺で子育てしたシジュウカラも若鳥の群れと親鳥の群れ、さらにヤマガラやメジロなどほかの小鳥たちと混群を作り始めています。その中にはコゲラが数羽入っていることがあります。

コゲラは日本全国の山地の森林に生息する日本最小のキツツキで、冬はより低地の林へ移動するものがいます。地方ごとに色彩に変異があり9亜種に分かれています。平地や市街地の森林でも見られ特に近年は都市部の庭や公園で目にすることがあるようになりました。山に行かないとキツツキはいないと思っている人も多いかもしれませんが、今ではとても身近な存在になっています。とは言え大きさはスズメくらいで、褐色の姿をし、木の幹にいることが多いので見過ごされていることも多いことでしょう。
「ギィー ギィー」や、「ギィッ ギィッ ギッギッギッ」という特徴的な鳴き声が聞こえたら木の幹を探してみてください。幹の下の方から上の方へ、さらには枝先へと餌を探しながら順序良く移動している姿が見つかるかもしれません。
主に昆虫類を餌とし、冬も樹皮の下から虫を探し出して食べ、時には木に穴をあけて虫を探しだします。カマキリの卵のうを食べている姿を見たこともあります。
5月から7月頃の繁殖期には枯れ木や枯れかけた木に穴を掘って巣を造り、つがいが共同で抱卵しひなを育てます。巣立ったひなは数日間親から餌をもらいます。その後も親元を離れないものもいるようで、冬季混群に数羽コゲラがいたらそれは親子の可能性もあるかもしれません。

求愛のほか縄張り宣言でもある木をつつくことによって音を出すドラミングは扉をノックしているかのよう。混群に入っていても縄張りを離れてはついていきません。お出迎えをして見送るかのようです。
雌雄の区別はつきにくいのですが、落葉樹が葉を落とし、北風が吹くようになるこれからの季節、後頭部に注目です。風にあおられるなどして羽が逆立った時に赤い小さな羽根が見えたらそれがオスです。
冬場はねぐらとして木に穴をあけることもあるコゲラ。いくら小さいとはいえ細い木や若木しかないところには棲めません。木の中にいる虫を食べ、木を救うこともあるかも。コゲラの掘った巣穴はシジュウカラやヤマガラなどが子育ての場や冬場のねぐらとして使うこともあります。
英名はJapanese Pygmy Woodpecker。日本にいる小さなキツツキという名が示すように、日本と周辺の東アジアにしかいません。身近なコゲラ、人に対してあまり警戒心が無いので見つけやすくなるこれからの季節、1年中よく鳴きますからぜひ声を頼りに探してみてください。

ドングリなどの不作で人里にクマが出没しているというニュースを聞きますが、狭山丘陵ではコナラを筆頭にたくさんのドングリが足元に落ちています。オトコヨウゾメやヒヨドリジョウゴの赤い実、カラスウリの赤い実は提灯のようです。足元ではヤブランが輝く黒い実をつけています。
チョウの数も減りましたが、小春日和には翅を広げ日向ぼっこをしているムラサキシジミやルリタテハに出会えることでしょう。

長らくご愛読いただきました『ふれあいの里だより』も今回で終了となります。なお、引き続き狭山丘陵いきものふれあいの里センターのホームページでは自然情報をお伝えしていきますのでよろしくお願いいたします。これまでありがとうございました。

コゲラ

   カラスウリ

   ムラサキシジミ



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています