1. TOP
  2. TOP
  3. しっぽがポイント ムラサキツバメ~ふれあいの里だより令和2年12月号~

ここから本文です。

しっぽがポイント ムラサキツバメ~ふれあいの里だより令和2年12月号~

大変な1年でしたがもう残すところわずかとなりました。紅葉と落葉が入り乱れ季節も行ったり来たり。それでもクロスジフユエダシャクやニトベエダシャクが冬の訪れを告げるかのように姿を見せてくれました。

成虫越冬をするものを除きチョウの姿もほとんど見られなくなりました。日だまりで翅を広げて日向ぼっこするムラサキシジミを見ると少しほっこりします。よく似ているけどなんだか違う?と思うチョウがいたら後翅にしっぽのような尾状突起がないか見てください。ムラサキシジミより大きく、尾状突起があればそれはムラサキツバメです。

ムラサキツバメは近畿地方以西の本州、四国、九州、南西諸島に分布するシジミチョウの仲間でしたが、温暖化の影響もあると思われますが、1990年代後半から急速に分布を北へ広げ、今では関東、福島県などでも見られるようになりました。

狭山丘陵でも次第に数を増やしているようです。幼虫の食草はマテバシイ、シリブカガシで、どちらも狭山丘陵は本来自生地ではありません。ただ、マテバシイは古くから日本各地に植栽されていて、このあたりでも公園などによく植えられています。

翅を開くとオスは全体が暗い紫で、メスは前翅の中央部分が鮮やかな紫です。集団越冬をすることでよく知られ、様々な常緑樹の葉の上で集まっているさまはまるで枯葉がくっついているかのようだということですが、残念ながらまだ実際に確認したわけではありません。

おそらくこの辺りでは越冬していても大きな集団ではないと思われます。まだまだ出会うことの方が珍しい!といった印象があるムラサキツバメです。

ツマグロヒョウモン、クロコノマチョウ、ナガサキアゲハなどほかにも北へ分布を広げているチョウはいます。みられなかったチョウが身近で見られるようになるのはうれしいのですが、いろんな面からみて心配でもあります。

ジョウビタキやツグミ、ルリビタキ。野鳥たちが冬越しのために渡ってきたり移動してきたりして、センター周辺もにぎやかになって来ました。シジュウカラやコゲラ、エナガ、メジロなどの混群に出会う機会も増えました。マンリョウの実も赤く色づき野鳥たちに食べてもらい種を運んでもらおうとしています。

21日の冬至を前に日没の時間は早くなっていますが、それも12月7日まで。8日からは少しずつ遅くなっていきます。でも日の出の時間は1月10日を過ぎるころまでまだまだ遅くなっていきます。

12月13日の明け方近くには東の低い空で月と金星が、17日の日の入り1時間ころには細い月と接近している土星と木星が輝きます。どちらもそんなに無理をしなくても観察しやすい時間です。夜は星空、昼は野鳥観察に良い季節となりました。

所沢市のホームページに掲載していた『ふれあいの里だより』をこちらでは引き続き掲載していきたいと思います。ご愛読いただければ幸いです。

ムラサキツバメ

   ネジキの紅葉と冬芽

   エナガ



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています