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ニホンミツバチ~ふれあいの里だより令和3年3月号~

暦の上では春ですが、3月は冬と春がせめぎあっているようです。今年は3月5日が啓蟄で、虫たちの活動に人々の関心も寄せられるようになって来ます。

気が付かれないことも多いのですが、冬の間も活動している虫たちはいます。ニホンミツバチも冬眠するのではなく巣の中で蓄えたはちみつや花粉を食べながら暮らし、お天気の良い日には椿の花などへやってきます。

ニホンミツバチはもともと日本にいたもので、アジア全域に分布するトウヨウミツバチの亜種にあたり日本固有種です。明治時代に養蜂のために移入されたセイヨウミツバチにくらべ少し小さく働きバチの体長は13mm程度で、全体に黒っぽく見えます。

一つの巣に1匹の女王バチと数千から数万の働きバチが集団生活をしています。雄バチは春から夏の繁殖期にだけ十分な数の働きバチがいればそのおよそ10パーセント程度生まれます。

働きバチの寿命は30日から60日程度ですが、秋に羽化し越冬する個体は4ヶ月から5ヶ月生きます。女王バチは1年から4年生き、セイヨウミツバチの女王バチは8年生きることもあります。

女王バチはひたすら巣の中で卵を産み続けます。次々生まれてくる働きバチはすべて雌で掃除、育児、門番、食物の貯蔵、食物の採集などあらゆる仕事を日齢によって分業し、巣の中での単純なものから外との関係の高い複雑な仕事につくようになります。四季をとおして巣の中の温度は25度から35度くらいに働きバチによって保たれ、天敵のスズメバチがやってくると集団で突進し蜂球になり閉じ込め熱殺します。

『女王』と名はついていますが、実際に巣の集団をコントロールしているのは働きバチたちといってよいでしょう。次期女王用の王台や雄用の巣房を働きバチたちは季節や女王バチ、巣全体の様子によりつくります。女王バチは雌雄を産み分けることができ、王台の幼虫はローヤルゼリーを与えられることにより女王バチへと育ちます。

女王バチも雄バチも働きバチに餌をもらいます。巣に女王は1匹なので、新女王が生まれると元気な場合は新女王に巣を譲り旧女王は群れの約半分を引き連れ分蜂します。公園などでハチの塊が発見され騒がれることがありますが、これは分蜂先が見つかるまでの一時的な状態なのでそっと見守ってあげてください。温厚な性格のニホンミツバチはめったに刺しませんが危険を察知すると刺すこともあり、刺した針は抜け落ち死んでしまいます。分蜂は春先から夏にかけて群れの状態などによりますが3回程度行われます。

雄バチは交尾のためだけに無精卵から生まれてきます。女王バチとランデブー飛行により交尾できると死んでしまい、できなかった雄は邪魔にならないように餌をもらいながら暮らしていきますが、巣が手狭になってきたり、餌が少なくなってきたりすると巣から追い出され死んでいきます。秋まで生き延びていても越冬前には追い出されてしまいます。

ニホンミツバチは蜜の量は少ないですが、色んな花から蜜を集めてくるので百花蜜と呼ばれ季節や場所によっても味が変わります。花を求め移動するので豊かな自然の指標ともいえるかもしれません。

梅、椿、桜。花の便りが次第に聞かれるようになってきています。野や森では足元にオオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ハコベ、スミレの仲間たちが咲き始めています。働きバチたちも巣から外へ出る機会が増えオスも生まれるころとなってきました。

成虫越冬をしていたキタテハやルリタテハ、キタキチョウに出会えることも増え始め、羽化したばかりのミヤマセセリに出会えるのも間もなくです。

野鳥たちは冬の間作っていた混群を解散。シジュウカラやヤマガラ、メジロもモズやエナガに続き、恋の季節を迎えています。水鳥たちも次々と繁殖地へと旅立っていきます。ツバメは越冬地から帰ってきて巣造りを始めます。春本番はすぐそこです。

ニホンミツバチ

    タチツボスミレ

   荒幡富士より



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