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キジバト平和を願い~ふれあいの里だより令和5年3月号~

今年の春は高温傾向のようです。春霞が掛かったような夜空になってきそうですが宵の明星として輝いている金星が2日には木星と大接近、24日には三日月と接近します。7日は満月、Worm Moon(ワームムーン)(芋虫月)と呼ばれます。今年は6日が啓蟄。いよいよ虫たちが目に見えて活動を始めます。

いわゆる芋虫たちは子育ての時期に入った野鳥たちのごちそうです。雑食性のキジバトは主に植物の堅い果実や種子を食べますが、昆虫やミミズなども食べてしまうようです。

キジバトは日本全国の平地、低い山地の林や市街地に一年中いて、北海道には夏鳥として生息する渡り鳥です。かつては山鳩と呼ばれ明るい森に生息していましたが、今では人の近くにも生息するようになっています。これは1960年代に都市での狩猟が全面禁止されたことも原因のひとつと考えられます。

公園などで群れを見かけるのはドバトです。ドバトは中東の崖に生息している鳥を人が飼育改良したもので、逃げ出し野生化したハトです。キジバトは1年を通して2羽か3羽でいて、これはペアか親子です。赤紫色がかった灰褐色の身体に背と翼にはうろこ模様、首には濃青色と白色の横じま模様のマフラーを巻いたように見える模様があります。若鳥はこの模様が淡色かありません。英名ではOrientle Turtle Dove(東洋の首に模様のあるハト)で、漢字表記の『雉鳩』はキジのメスに似ていることから名付けられました。

多くの野鳥と同じく春から夏に繁殖期を迎えますが、キジバトは3月から11月と長い期間に中には6回も繁殖するものもあります。ほとんど植物食で、これをそのうと言う器官にためて徐々に消化したりこの器官の内壁のはがれたものを吐き戻したりしてヒナに与えるので長い期間繁殖が可能になります。これはピジョンミルクと呼ばれる脂肪分やたんぱく質に富んだハト類共通のものでオスもメスもこのミルクをヒナに与える事ができます。

ヒナは親鳥の口の中にくちばしを入れ時間をかけてミルクを飲むので、給餌の回数は朝夕の2回程度が普通です。

巣は枯れ枝をオスが拾ってきたり木から折ってきたりしてメスに渡し、主にメスが樹上に造ります。下から透けて見えるほど雑な造りですが、卵は小さめで2つしか産まないので熱はしっかり伝わります。神経質な面もあるようで、卵を産むまでは放棄して何回も場所を変えることがあります。

樹上から「デデッポポー デデッポポー」と聞こえてきたらキジバトのオスです。求愛の時はメスの前で「ウグッ ウグッ」といった低い声を出します。飛び立つときに「プン」という声を出すこともあります。

地面で給餌しているのに気づかずに近づくと、慌てたようにバタバタと大きな羽音を立てて飛び立たたれびっくりすることもあります。

幸福のシンボルと親しまれる反面、糞害も問題になります。狩猟鳥にもなっています。世界には約290種いると言われるハト。愛と平和の鳥として共存していきたいものです。

今年の春は特に駆け足でやって来そうです。桜前線は今年も早く北上しそうで、幼虫で冬を越したミヤマセセリも急いで羽化するかもしれません。テングチョウ、ヒオドシチョウ、キタキチョウ、成虫で冬を越したチョウたちは早々に飛び始めそうです。

オオイヌノフグリはすでに多くの瑠璃色の花を咲かせていますが、スミレの仲間がこれに加わるのも間もなくでしょう。

 

キジバト

  テングチョウ

    アオイスミレ



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