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歌うの大好きガビチョウ~ふれあいの里だより令和3年6月号~

梅雨入りが気になる6月。今年は雑節では6月11日が『入梅』ですが、5月中に東海地方までがすでに梅雨入りしています。木々はあっという間に深緑になり、「例年より花が早く咲いた…」という言葉も幾度となく耳にしています。そんな中、夏が来たと感じさせてくれるホトトギスの鳴き声は例年と変わらず聞かれるようになりました。

子連れのシジュウカラやエナガのほほえましい姿が見られたり、朗らかに歌うウグイスの声が聞こえたりと引き続き野鳥たちがにぎやかです。

中でもひときわにぎやかな声を聞かせるガビチョウ。1年を通してその存在感は抜群です。

ガビチョウは狭山丘陵周辺でもすっかり定着していますが、日本の侵略的外来種ワースト100にも入っている特定外来生物(日本の自然にとっていない方が良い種類)です。中国南部から東南アジア北部に分布し、江戸時代に輸入された記録が最初で、鳴き声の美しさから中国では鳴き合わせもされてきました。ペットとして入ってきたものの日本の住宅事情では声が大きすぎたようです。

茶色い体に目の周りの白い線が特徴的で、決して華やかとは言えない外観もあいまってか飼いきれなくなったり、かご脱けしたりしたものが野生化して増えてきたと考えられています。

野生のガビチョウは1980年代前半に九州北部で確認され、その後神奈川、東京、山梨の県境辺りを中心に関東地方に増えました。埼玉県には2000年前後に東京都方面から入ってきました。あのにぎやかな鳥は何者?と思っていたらあっという間に普通に見られるようになりました。

そして2005年には特定外来生物に指定されました。渡りはせず、地面で採餌するところから積雪量の多いところにはいないと思われます。

画眉鳥という名前は中国語表記の『画眉』に鳥を付けて日本読みしたもので、まさしく眉をかいたような鳥という意味です。にぎやかと書きましたが、複雑で大きな声で鳴くだけでなく、ほかの鳥の物まねもします。ウグイスやシジュウカラ、コジュケイ。キビタキやサンコウチョウの真似にだまされてがっかりすることもあります。

下草が良く茂っている藪や低木林を棲みかとし、雑食性で虫や果実などを食べます。

在来の生物への影響が心配されるところですが、今のところ確固たる影響は確認されていません。うまく隙間に入り込んで生息域を広げているのかもしれません。ハワイでは侵入により在来生物に影響が出たということですので油断はできませんが。

突然藪から目の前に飛び出して来たり、比較的低いところで鳴いていたりする姿を目にするガビチョウ。物まねをする鳥は自前の歌が人からすれば上手とは思えないものが多いのですが、ガビチョウは本当に歌が好きで上手な鳥と言えそうです。非繁殖期にもこれほどよく歌う鳥はいないのではないでしょうか。どことなく憎めないところもあるガビチョウです。

年に一度のゼフィルスと呼ばれるミドリシジミの仲間たち、アカシジミやウラナミアカシジミ、ミズイロオナガシジミなどのほかにテングチョウも発生する時期です。クリの花には多くの昆虫が吸蜜に訪れます。

ムラサキシキブの香りは梅雨時の清涼剤。ヒメコウゾは透明感のある赤い実をつけています。足元ではイチヤクソウやオオバジャノヒゲが静かに咲いています。

シジュウカラは次の子育てを始めた親から離れ若鳥たちで群れを作ります。藪の中から聞こえてくるのは本当のウグイスでしょうかそれともガビチョウの物まねでしょうか。

6月21日は夏至。埼玉県での日没は19時1分です。最初に見える星は『宵の明星』金星でしょう。25日は満月、ストロベリームーンと呼ばれます。太陽とは反対に高度の低い月は赤っぽく見える確率も高くなっています。ひときわうれしく感じられる梅雨の晴れ間を期待したいものです。

ガビチョウ

   ウラナミアカシジミ

   ヒメコウゾ



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています